テキサス・メディカルセンターで実際に働く人々から見た、アメリカの医療情報

HOME アメリカの医療情報 臨床試験とは

アメリカの医療情報

臨床試験とは

MDアンダーソンがんセンター
第 I 相臨床試験を専門とする科(Phase I Department)内にて
*正式名称
Department of Investigational Cancer Therapeutics
フェロー(日本でいう後期研修医)をされている
藤井健夫先生からの寄稿文と共に
私の理解も交えつつ
藤井先生に最終チェックいただいたものを
ここで紹介させていただきます。


今回のお話は
「臨床試験とは」

t02200293_0800106713572774381.jpg

(写真はMDアンダーソンがんセンターの病棟)

MDアンダーソンがんセンターには、
乳がん、消化器がん、婦人科がんなど臓器毎に科が分かれており、
それぞれの科がそれぞれの臓器に関連したがんの治療を担当しています。

その他にも、
緩和ケア科など、がんの診断、治療、
その後の継続診療の中で必要となる専門科が多数存在します。

第 I 相の臨床試験を専門とする科では
主に固形悪性腫瘍に対する第 I 相臨床試験を行っています。


新たな薬剤が発見された際、
あるいは
薬剤自体は認可されていてもいままでに試されたことのない
複数の薬剤を併用しての治療法が提案された際、
臨床試験を行います。


臨床試験を行う目的は
その治療が標準治療
(十分に効果があると科学的に証明され、認可された治療法)
として認められる可能性を確認するためです。

多くの場合、
第 I 相、第 II 相、第 III 相と
三段階の臨床試験をクリアする必要があります。


第 I 相臨床試験はその第一段階です。


第 I 相臨床試験とは何かを最も簡単に表現すると
主に
「新しい治療薬の副作用を調べる試験」
別の言い方をすると
「副作用と効果の最も良いバランスが取れるであろう
薬剤の用量を見つけるための試験」
です。

第 II 相臨床試験では、
第 I 相臨床試験で決められた用量がどの程度の効果があるのか
あるいは有意な効果がないのかを調べるための試験で、
第 III 相臨床試験に移れるかどうかの登竜門といえます。

第 III 相臨床試験では、
より多くの患者さんを
その新しい治療薬もしくは新しい併用療法で治療し、
同時に同じような背景をもつ患者さんを
現在承認されている標準治療や
時に擬似薬(*プラセボ)で治療し、
最終的にどちらの治療薬、治療法が勝っているのかを
効果と副作用の点から判断します。

新しい治療薬、治療法が勝っていた場合、
その治療が新たな標準治療となります。
(試験によっては、標準治療に「負けていない」ことをもってクリアとするものもありますが、話が複雑化するためにここでは割愛することとします。)


*擬似薬(プラセボ)とは
新しい治療が本当に有効であるのかを確認するための比較対象として使用されることがあり、有効成分を含まない薬のこと。がん治療の中で言うと、形や見た目などは、実際の薬剤とまったく同じであるが、癌の治療効果をもつであろう成分を含んでいない薬剤です。


つまりは、
第 I 相から第 II 相、第 III 相と進むにつれて、
その薬剤に関するより多くの作用、副作用などの
情報が手に入ることとなります。

実際にはここまで単純ではありませんが、
今回のお話は臨床試験の大まかな役割です。

今すぐ相談、お問い合わせ・お申込みはこちら

ページの先頭へ

zoom無料相談会