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第 I 相臨床試験の進み方について(2)

先日の慶應病院でのセミナーで講師をされていた
お友達の薬剤師さんからもいただいたメッセージを元に
2回に分けて詳しく説明してみます。

「第 I 相臨床試験の進み方について1」

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第 I 相試験の主な目的
1、副作用を理解すること
2、副作用と効果の最も良いバランスが取れるであろう薬剤の用量を見つけること


2の、最もバランスの良い薬剤の用量の見つけ方について説明します。

下記の方法は
たくさんある方法の中で最も一般的なものの一つです。


まず。
いくつかのグループ(例えば1、2、3、・・・・X)を作ります。

投与する薬剤の用量はグループ1が一番少なく、グループ2、3、と数が大きくなるにつれて用量も増やします。
増やす用量は、臨床試験のプロトコル(手引書のようなもの)に決められている通りに、少しずつ用量が増えていきます。

一つのグループの患者さんの登録人数は3人ー6人です。

まず開始用量(一番少ない用量)を1のグループの3人に投与します。
約1ヶ月(全ての場合において1ヶ月とは決まっていない)。
許容できない副作用(以下DLT:後ほど説明)が出るかどうかを確認するための期間です。

A)約1ヶ月後、DLTが出ないとわかった場合、
次のグループ2(用量を多くしたグループ)
で3人に投与します。

B) 約1ヶ月後、DLTが3人の内1人に出た場合、
同じグループ1の用量を更に3人に投与します。
1)DLTが出なかった場合、
A)と同じように次のグループ2へ移動です。
2)DLTが1人出た場合、
グループ2へ移動はできません。
同じ用量を投与できるのは
最大6人とした場合、
2人DLTが出たことで
これ以上用量を増やせません。


これらのプロセスを続けていきます。
例えば、グループ3で上記B)の2)が起きた場合、
最高投与可能な用量はグループ2の用量になります。


図に示すとこんな感じ。

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=DLTとは=
dose limiting toxicity
日本語では用量規制毒性と訳されていますが、用量を規制する、すなわち当該有害事象が発現したら
次のレベル(1つ上の用量)に増量しない、とプロトコルで規定されている毒性のことを指します。
DLTは各プロトコルで規定されますが、多くの場合は「Grade 3以上の非血液毒性」と「Grade 4以上の血液毒性」です。

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