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第 I 相臨床試験の進み方について(3)

「第 I 相臨床試験の進み方について1」

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1、DTL(許容できない副作用)について

すべての副作用はCTCAE(下記2に説明)という基準にしたがって、その重症度が判断されます。
例えば、ある副作用が出た時、どの程度重症なのかを確認し、その副作用に対する治療と臨床試験を休止した場合、どの程度継続するのかなどを総合的に判断します。


2、CTCAEについて
Common Terminology Criteria for Adverse Events
有害事象共通用語規準といい、米国National Cancer Institute(NCI)がsponsored study (NCIのグラント(*1)でNCIが管理して行なわれる医師主導試験)の毒性評価のために、NCIが作成したものです。
歴史的背景には
1971年にニクソン大統領の時に制定された「がん対策法(National Cancer Act)」をもとに
NCIが中心となって抗がん薬開発を行なってきました。

参考動画はこちらから

NCI sponsored studyで良い結果が出るとその後、製薬企業が開発を引き継ぎ、承認申請につながります。
そのような流れの中で、CTCAEがNCI sponsored studyのみならず、がんの臨床試験で(医師主導、企業主導に関わらず)使用されるようになり、世界に普及していきました。
2009年改訂のver 4ではAdverse Event(有害事象)の用語が、整理、統一され、より国際的な承認申請(=規制当局)を意識した内容に改められました。

(*1)グラントとは
科学研究などを支援する目的で政府期間や民間の財団から交付される一定の補助金・寄付金のこと

3、第 I 相での副作用の出現とその後の第 II 相、第 III 相での出現について

すべての副作用が第 I 相ですべて出てしまうことはありません。
第 II 相に進むにあったって重要な参考になる程度の副作用は確認できると言えます。

薬剤の用量を考えてみた場合、
第 II 相に進むに当たり、第 II 相で試す薬の用量は、第 I 相で試してDTLの人数が6人中2人出た時点で終了になるグループの一つ少ない用量のグループ(例えば、グループ3の薬の用量で2人DTLが出た場合、グループ2の用量が第 II 相で使われる用量になる)
参考:http://ameblo.jp/mediaison/entry-12154369677.html
必ずしも用量が多いほど副作用が起こりやすいというわけではないですが、用量が多いほど副作用が多くなる薬剤も多くありますので、第 II 相で新たな副作用が出る可能性も出てきます。

また、人数を考えてみた場合、
第 I 相、第 II 相、第 III 相と進むにつれ、臨床試験を受ける人数が多くなります。
第 I 相では全てのグループを合わせて15人~30人くらい。
第 II 相では約100人。
第 III 相では数千人にのぼることもあります。

そこで、絶対的な人数の問題から、新たな副作用が出現される可能性もあります。

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