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ベイラー医科大学 精神科医 井上先生のお話

テキサス・メディカルセンターを一言で紹介するならば、「巨大な病院&研究施設」であり、一言で評価するならば、「研究と臨床が合理的なシステムにのっかってうまく起動している」ことでしょう。日本の医師のなかにも(もっと研究したい!病気の解明をしたい!)と思っている人はたくさんいます。でも、臨床に忙殺され、また、時に病床に顔を出さないことが非難されがちな風潮にあって、研究に集中して力を注ぐことは決して容易ではありません。それに対し、ここでは、まず、一般的に臨床医一人が診る患者の数が少なく、パラメディカル(医師以外の医療職員)スタッフが充実しており、様々なところで分業化合理化が進んでいます。研究者としての医師に対しての身分、経済的な保証も十分されており、最先端のサイエンスの知識がある臨床医が育つ環境なのです。
日本の医療システムが、誰でも平等に標準的な治療を受けることができる「福祉的」なものであるのに対して、アメリカの(テキサスの?)医療はまさにサービス業です。患者は医療を買う消費者で、医療者はサービスを提供するのです。ですから、それなりにお金を払うことによって、消費者はよりよい医療を手に入れることができ、また、サービスの内容を比較し、選択して買おうという意識も働きます。さらに医療保険は民間保険企業が担っていますので、医療内容も企業理念に左右されます。
日米の医療とは、このような大きな違いがあるので、アメリカの医療システムの全容を見ずに一部の魅力的な部分を日本のシステムに当てはめようとするのには賛成しかねます。が、ここでは、お金を払いさえすれば、最新の豪華な設備の中で、高名な医師による最先端の治療が受けられます。日本に無い先端技術による治療が受けられるという、チャンスを求めることは十分に可能だと思います。


井上 健
日本の所属先:横浜市大精神医学教室
現在の所属先:Baylor College of Medicine, Department of Molecular and Human Genetics
滞在期間:もうすぐ5年

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