※このページでの勝俣先生のお話は先生の承諾を得て作成させていただいています。
日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授
標準治療以外を否定しているのか?というとそういうわけではない。あくまでも患者さんに勧められる治療が標準治療ということ。標準治療以外の治療は、研究としてやってもらえばよい。研究段階の治療は良いとは限らないということである。患者さんを研究の対象にするには、臨床試験としてやるべき。
臨床試験とは、研究治療を患者さんにやってもらうことになるので、科学的にも倫理的にも厳密に行われなければならない。正確な情報開示も必要。研究治療が、研究や臨床試験としてでなく、自由診療として、ましてや、高額な費用を請求し行われるのは、倫理的にも重大な問題がある。
インチキ医療は、こちらからどんどん通報しましょう。誇大広告、虚偽広告、治療前後を示した症例提示、未承認治療、などすべて医療法における医療広告ガイドラインに違反します。
2018年6月1日より施行される新たな、医療法における病院等の広告規制(医療広告ガイドライン)はこちらに出ています。
日本の野放し免疫細胞療法、あちこちで問題が起きています。実際に効果があるわけではなく訴訟事例まで発展しているものもあります。
効果の確証がない治療をあたかも効果があるようにネットで宣伝し、患者さんに高額な治療費を請求するのはかなり問題があると思います。説明義務違反、今でしたら、医療法違反(広告ガイドライン違反)にもなりますので、もし被害に会われた患者さんがいらしたらご相談ください。
6月1日からのネット規制にインチキクリニックも対応がチラホラ。ネットで怪しい宣伝できないので、無料相談に切り換えてるクリニックあり。がんの無料相談に要注意!インチキ治療に誘導されますよ!
無料がん相談に注意!無料とあれば怪しいと思うべし。がん相談なら、きちんとした専門医のセカンドオピニオンを受けるべき。専門医の相談は、病歴を詳細にチェックし、これまでの画像を詳細に吟味して、専門的な見解を示します。手間ひまかけます。無料はあり得ません。
未承認治療は、実験的治療であり、基本的には研究として行われるべきものです。臨床研究は、第三者期間で厳密に審査され、倫理委員会でも承認されて、初めて行うことが承認されるべきものです。そのことは、医学研究の指針であるヘルシンキ宣言にも書かれています。
未承認治療で、研究と称して行われてもいない自由診療は、ヘルシンキ宣言に違反しており、重要な医学的倫理違反を起こしている行為であると思います。
このあたりは、もっと追求されるべきだと思います。この点、日本は医学研究倫理に関しては、世界的にもかなり甘い国であると思います。
大須賀先生のブログより。正確かつ、わかりやすく書かれています。お勧めの記事です。
未承認治療の何%が本当に効果を期待できるのか?
卵巣がんの標準治療のパクリタキセル+カルボプラチン、全身状態が悪い、遠隔地で通院が大変、などの例外的な場合を除いて、外来通院治療で可能です。
卵巣がん治療でも有名な大学病院で、通院治療希望したのに「絶対2泊3日入院で」と言われ困惑していた患者さんがいました。ベッドを埋めるため??
「絶対入院治療で」と言われてしまうと、患者さんは逆らうことができません。
がん患者さんの就労支援を国家対策としても推奨しているのに、就労支援を妨げているのは、会社側だけでなく、医療者側の原因も大きいと思います。
通院治療も可能なのに、「入院で」「仕事辞めたら?」と言う医療者がいます。
6月より、いよいよ新しい広告規制が施行されます。インチキクリニックの広告が改善されると良いのですが。
医療法における病院等の広告規制について |厚生労働省
余命宣告をされたらどうするか?家族や周りの人は安易に励ましてはいけないと思う。それより先に、医師は安易な余命宣告をしてはいけないと思う。
余命は3割しか当たらない。安易な余命宣告はやめるべき。特に断定的な数字を言うことは避けるべき。
余命に関する誤解(上) : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)
卵巣がんのオラパリブ、米国、欧州に承認が遅れること3年でやっと承認されました。この日を待っていた患者さんに早速投与開始しています。消化器毒性、骨髄抑制は多少ありますが、使いやすい薬剤です。
既に米国では、第二世代のNiraparib, Rucaparibと承認しています。日本での早期開発が望まれます。
がん患者さんが障害年金をもらえることは、政府広報オンラインにも出ていました。糖尿病や心疾患患者さんも対象になるそうです。広く知ってほしいですね。