※このページでの勝俣先生のお話は先生の承諾を得て作成させていただいています。
日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授
リスクが高くない人にはやる必要はないんですが、現場だと、患者さんから、「インフルエンザ検査をやるように会社から言われている」などと言われ、しょうがなくやっているという現状があります。
がんの薬物療法、海外で承認、日本で未承認、適応外の薬剤は、127もあるんですね。
これを見てしまうと、「ドラッグラグは、なくなった」とは言い切れない状況にあると言ってもよいと思います。
きちんとした臨床研究とは、良いか悪いか答えが出ます。結果が出なかった臨床研究は止めるべき。
がんの臨床試験は、数十例から数百例(補助療法では千を超えることがありますが)で結果が出ます。
本庶先生が開発に関わったニボルマブは、582名の臨床試験で承認されました。進行がんの臨床試験なら、数百例で良いか悪いか決着が着きます。
がん免疫細胞療法を数千例やっているという施設があるが、数千例やっても実績なく承認されない治療って何なのでしょうか?
本庶先生も、根拠ない免疫療法に苦言「金もうけ非人道的」と言っています。
日本医大医学生のがん情報に関する研究結果が英文医学誌に掲載されました!
日本のネットがん情報、有害で危険なサイトが38.5%もある。
ガイドラインに基づいた信頼できるサイトは10%しかなかった。
海外では、一部の国では、抗がん剤は専門医だけにしか処方できない法律をつくっています。
米国では法律はありませんが、専門医以外で処方したら、すぐに訴訟になるので、腫瘍内科以外だれも処方しません。
日本は、医師であれば誰でも抗がん剤処方でき、しかも自由診療も野放し。これでよいでしょうか?
国立がん研究センター中央病院副院長藤原康弘先生のインタビュー。
「免疫細胞療法は全然効果はないと思う。(治療費が)高いのは効かないと思ったほうがいい」
「保険が使えないがん治療は、"危ない"と思ったほうがいい」
「光免疫療法は、(現時点では)、動物実験レベル」と言っています。
藤原康弘先生、よくぞ言ってくれました。
これが、国立がん研究センターの公式見解、というか、がん治療を真面目にやっている専門家からすれば、常識的レベル。
患者さん、国民の皆さんに是非、真実を知ってほしいと思います。
ある病院で、慢性腎不全のある患者さんが進行がんになりました。「腎機能が悪いので、使える抗がん剤はありません」と言われました。
腎機能が悪くても、使える抗がん剤あります。人工透析をしていても抗がん剤は投与可能です。
このような場合には、腫瘍内科医に相談してください。
「あなたには、治療はありません。緩和ケアを勧めます」という患者さんを絶望に導く言い方は、もうそろそろ止めにしてほしい。
このような場合でも、患者さんを絶望に陥れることなく、希望と安心を与えられる言葉があるはずです。
抗がん剤の臨床試験・治験が開始され、最終的に成功して、効果が認められて、承認される確率は5%と極めて低い。
とすると、細胞実験・動物実験が終わった段階では、期待される効果は、ほとんど何とも言えないというくらいと言ってよい。
本物の免疫細胞療法、CAR-T療法は、治験なので、無償提供されます。治験がうまくいって、承認されれば、保険適応になります。
治療効果があるかもしれない、というくらいのエビデンスは、基礎研究や初期臨床研究で、ごまんとある。
ただ、科学的にしっかりと治療効果があるということを証明するのは、とても大変なこと。大規模なランダム化比較臨床試験(第三相試験)が必要。
現在、標準治療と呼ばれる治療法は、この第三相試験までクリアーしてきている治療法なので、すごい治療法であると言えます。
基礎実験から、臨床第三相試験までクリアーできる確率は1万分の1と言われているので、標準治療がいかにすごいのかがわかる。
がんワクチン+オプジーボの臨床試験の結果。MDアンダーソンからの報告。これが正しい研究のやりかた。
未承認薬なので、患者さんから費用を徴収することはありません。
まだこの結果のみでは、不十分。今後、第3相試験をやり、最終効果を確認するということになるでしょうね。