がん治療と向き合うに当たって
「どれだけ納得して向き合えるのか」
それが大切になると思います。
今回のお話は「治療法のオプション」について。
前回「標準治療」についてお話しました。
「標準治療」にはどんな種類の治療法があるのか。
「標準治療」が効かなくなった時、自分には何があるのか?
「臨床試験」という可能性もあるのか?
など、
治療法の可能性を模索することは大切です。
例えば、「臨床試験」って何でしょうか?
「実験」という言葉が真っ先に浮かぶのではないでしょうか?
確かに実験は実験かもしれません。
MDアンダーソンがんセンター内には、多くの「臨床試験」が存在します。
そして、それを積極的に受ける多くの患者さんがいます。
どうしてでしょうか?
「臨床試験」に対する恐れはないのでしょうか?
もちろん、恐れを感じる患者さんも数多く存在します。
臨床試験を受けることで患者さんにとって
治療法の可能性を拡大することに繋がると考えています。
これらの「臨床試験」は、科学的・倫理的根拠に基づき、
「標準治療」より効果が期待されると考え作成されたものです。
医師一人による考えで施行されることはなく、「臨床試験」作成に関わる医療スタッフ・研究スタッフ全員が同じ考えのもとに納得して作成されます。
作成された「臨床試験」は病院内の機関にて審査を受け、パスしたものが患者さんへの治療法として施行されます。
どのような治療法があるのかを前もって知ること。
そして、
前もって知った上で何を選択するのかを考えること。
皆さんが向き合う治療は
皆さん自身の中で何が大切なのかを考えて選んでいただきたいです。
以前お世話させていただいた腎臓がんの患者さん。
手術をして抗癌剤治療を行われている際に連絡をいただき、
NYメモリアルスローンケタリングにて
日本で待ちながらセカンドオピニオンを取得されました。
果たして今の治療は最適なのか。
今の治療が効果がなくなった時、何が残っているのか。
日本での未承認薬・臨床試験なども含めて可能性は残っているのか。
そういうことを期待されていたと思います。
病院からの返事には
今の治療は最適であること。
他にも効果のある具体的な治療法について。
その時の身体の条件にもよるけれど、今の状態での臨床試験の可能性もあること。
などが書かれていました。
私からの質問事項、患者さんからの質問事項を重ねて、病院とのやり取りを行い、まだまだ治療法があることを理解していただき、安心していただけたこと思い出します。
「納得して治療と向き合うため」には
「治療法のオプションを知ること」が大切です。
皆さんにとっての治療法のオプションはなんでしょうか?
科学的・倫理的根拠を元に作成された「実験」という言葉だけでは片づけられない「臨床試験」。
これも一つのオプションです。
どんなオプションがあるかを理解されることは安心に繋がると思います。
そして
ご自身にとって何が大切かを考えられるいい機会にもなると思います。