腫瘍内科医・勝俣範之医師のつぶやき

HOME勝俣範之医師のつぶやき

勝俣範之医師のつぶやき

※このページでの勝俣先生のお話は先生の承諾を得て作成させていただいています。

勝俣範之医師

勝俣範之(かつまた・のりゆき)医師

日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授

1963年、山梨県生まれ。88年、富山医科薬科大卒。92年国立がんセンター中央病院内科レジデント。その後、同センター専門修練医、第一領域外来部乳腺科医員を経て、2003年同薬物療法部薬物療法室医長。04年ハーバード大学公衆衛生院留学。10年、独立行政法人国立がん研究センター中央病院 乳腺科・腫瘍内科外来医長。2011年より現職。近著に『医療否定本の?』(扶桑社)がある。
専門は腫瘍内科学、婦人科がん化学療法、がん支持療法、がんサバイバーケア。がん薬物療法専門医。

勝俣先生のYomiDr.記事

「体験談」の宣伝効果

2020年05月26日

体験談っていうのは、最もわかりやすい。「あの人が効くなら、私にも...」って思っちゃいますよね。

体験談を載せるのが、商品の宣伝には最も効果的って知ってますか?
芸能人などの有名人が言ったら、最も効果的。

体験談とか、料理とか洋服とか趣味の問題ならまだよいが..医薬品について、体験談は止めてほしい。
命に関わる問題になります。
ですので、医薬品について、体験談を宣伝することは、医療法による医療広告ガイドラインでも禁止されているのです。

科学ってそんなに単純、簡単でないのです。
特に、因果関係(〇という薬が〇という病気に効果がある)を証明するっていうのは、とっても難しいことなんです。

体験談と同レベルで信用できない情報として、○○教授が言ったこと、なんです。
あの○○教授が言ったから、と簡単に信じてはいけないんです。
これが科学なんです。

もちろん、私が言っていることも簡単に信用しないでくださいね(笑)。

コロナウイルス対策とエビデンスの大切さ

2020年02月28日

こういう時にこそ、あわてず、あせらず、信頼できる情報を。確かなエビデンス(ファクト)に基づいている情報が大切。
ファクトに基づく議論をせず、政権批判、体制批判、人の批判に根付いている情報に注意。これらは、感情というバイアスが入って、エビデンスを歪めてしまいます。
不安につけこんで、「こうすれば大丈夫」「なぜこうしないのか!」とか、エビデンスも乏しいのに、人の感情に安易に訴えている発言にも注意。この中には、自称専門家と言っている医師も混じっているので注意。がんのトンデモ医療と似た構図がある。
本物の専門家というのは、安易に安心させたりするようなことは言わない。エビデンス(ファクト)は、時に、一般市民にとっては、つらく、聞きたくない情報も多い。それでも、本物の専門家は、苦しみを共有し、解決策を何とか探したいと思っている。

卵巣がんドースデンス治療と「世界的標準治療」

2020年01月24日

卵巣がんのドースデンス治療は、欧州人には効果なし。このランダム化比較試験は、製薬企業治験ではなく、医師主導臨床試験で、公的研究費を使っており、バイアスがかかりにくく、信頼できる結果。
日本人には効果あり?人種差があるのか?と考察されている。
人種差を越えて、効果が証明された治療が世界的標準治療になる。
世界標準治療になるのは、いかに難しいかということだと思う。

中国からの患者さんと保険未承認治療

2020年01月22日

最近、中国からの患者さんがまた増えている。中国でもきちんとした標準治療が行われていることが多い。
問題なのは、日本のインターネットで、最先端の免疫細胞療法が受けられると聞いたので、それはどうか?という問い合わせが多い。

米国FDAで承認されておらず、日本の保険未承認の治療は、効果が認められているわけでないので、そんな治療は勧められないとお話している。
中国人は「いくらでも出す」と言う。免疫クリニックは、中国人をカモにするのは止めてほしい。
中国の方も、こうしたクリニックを告発してほしい。

原発不明がんについて

2020年01月07日

"原発不明がん"って、原発巣をいくら探しても見つからず、転移がんで見つかるがん。
希少がんではあるが、臨床現場ではしばしば遭遇します。
ガイドラインもあり、適切に診断、治療をすすめていくことが大切なんですが、医師国家試験にも出ないので、知らない医師も多いがんです。

原発不明がんの中には、適切な診断、治療で、治すことができる原発不明がんがあるのですが、このことも知られていない。
原発巣がないと治療できないと、原発巣を探すのに、何か月も、何年もかかる、などということが大学病院でもある。

原発不明がんの診断、治療は、あらゆるがんの診断、治療を経験している医師、すなわち、"腫瘍内科医"でないと、きちんとした診断、治療ができない。

標準治療はどうやって決められますか?

2019年12月27日

偉い人がえいやって、決めるのではありません。厳密な研究、基礎研究→臨床研究の結果、新しい標準治療が生まれます。

動物実験で非常に有効であったからといって、標準治療になりません。
動物に効くからといって人間に効くとは限らない。臨床試験で効果を示すのは非常に難しいんです。

なぜ臨床試験が必要なのでしょうか?誰かに効いたという一例の報告があれば標準治療になるかというとそうではありません。
他の人で再現性を見たり、他の治療と比較したりしなければならない。そのために臨床試験が必要なのです。

臨床試験で効果を示すことが難しいのは、再現性がなかったり、他の治療(これまでの標準治療)と比較すると効果が劣ったりするからです。
本当に、「効果」を証明するというのは難しいものです。厳密な臨床試験を勝ち得た治療法が、「標準治療」になります。

お金があれば標準医療より良い医療が受けられるということはありません。そんな不公平な世の中ではないのです。
そういった意味では日本の保険制度は素晴らしいです。
先進医療は一部自費ですが、先進医療は研究治療です。標準治療ではありません。

標準治療の誤解

2019年12月27日

標準治療っていまだに大きな誤解がある。標準治療とは、世界中で一番良い治療、世界最善の治療のことです。
それができるということは素晴らしいこと。標準治療があるのに、あえてやらないのは、大変もったいないことと思います。

あの近藤誠先生でも、悪性リンパ腫の抗がん剤はやったほうがよいと言うのですが、それほど抗がん剤がよく効くがんです。
悪性リンパ腫でも、世界的標準治療を受けずに、代替医療で治したいという患者さんがいます。
高齢者とか、合併症があるかたでもないんです。

「抗がん剤で殺される」「米国では抗がん剤は使われず、日本だけしか使っていない」「代替医療の真実を医者は隠している」などを本気で信じています。
大学卒でインテリジェンスも高い方なんです。
これは自己責任?騙されるのが悪い?騙す方が悪い?のでしょうか?

患者さんに怪しい医療を受けたいと相談されたら?

2019年12月19日

ある大学病院で、標準治療を拒否し、ニセ医療を受けたいと言ったら、「二度とうちに来ないでくれ、今日で診療は終了です」と言われたそうです。
ニセ医療に効果もなく、がんが進行してしまい、患者さんはがん難民になり、かなり悪化した状況で、救急病院を受診したそうです。

ニセ医療をしたいと相談されたら...。傾聴、共感は、もちろん大切なのだが、その後、患者さんが希望するからと、あっさりとニセ医療を承認してしまう医療者がいる。
ニセ医療を簡単に承認しないでほしい。
本当の希望とは何か?を患者さんと話し合ってほしい。

ニセ医療を相談されて、激怒して、「もう来ないでくれ!」というのは論外だが、相談されて、まったく反対もせず、患者さんが希望しているからと、あっさりと認める医療者もかなり多いようなのです。
これだと、患者さんは安心してニセ医療をやってしまいます。

>「ニセ医療」に走るがん患者さん、看護師に何ができる?

がん検診の誤解「早期発見・早期治療」について

2019年12月13日

検診に関しても誤解が多い。すべてのがんに検診が有効であるわけでないのに、検診しなかった自分が悪かったと思いこんでいる人が多い。
ゆえ、がんになったのは、生活が怠惰で、検診も受けなかった自分が悪かったと思い込む。これが、がんであることを公表できない理由の一つになっていると思う。

「がんは、早期発見、早期治療が大事」というのもそろそろ止めてほしい。
早期発見、早期治療が有効なのは一部のがんのみ。

進行スピードが速くて、早期発見できないがん、進行が遅くて、検診しなくてよいがん、発見されても治療しなくてもよかったがんが、実際はかなり多く存在するからです。

がんは「生活習慣病」か?

2019年12月13日

患者さんに、「がんの原因になる生活習慣でもっと影響を及ぼすものは何ですか?」と聞くと、「食生活、ストレス」などという回答が非常に多い。
食生活やストレスが原因になり、自分ががんになったと思いこんでいる人が非常に多い。

がんの生活習慣としても最も大きな原因は、喫煙と感染です。
そのほかの影響は微々たるものなのです。このことは案外知られていない。

>がんの発生要因:国立がん研究センターがん情報サービス

がんを「生活習慣病」というのは止めてほしい。
生活習慣だけが原因でない。世界的にも、Noncommunicable diseases(NCD:非感染性疾患)と呼ぶようになってきています(WHOより)。

1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11
今すぐ相談、お問い合わせ・お申込みはこちら

ページの先頭へ