腫瘍内科医・勝俣範之医師のつぶやき

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勝俣範之医師のつぶやき

※このページでの勝俣先生のお話は先生の承諾を得て作成させていただいています。

勝俣範之医師

勝俣範之(かつまた・のりゆき)医師

日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授

1963年、山梨県生まれ。88年、富山医科薬科大卒。92年国立がんセンター中央病院内科レジデント。その後、同センター専門修練医、第一領域外来部乳腺科医員を経て、2003年同薬物療法部薬物療法室医長。04年ハーバード大学公衆衛生院留学。10年、独立行政法人国立がん研究センター中央病院 乳腺科・腫瘍内科外来医長。2011年より現職。近著に『医療否定本の?』(扶桑社)がある。
専門は腫瘍内科学、婦人科がん化学療法、がん支持療法、がんサバイバーケア。がん薬物療法専門医。

勝俣先生のYomiDr.記事

臨床試験と医療行為の区別について

2019年10月11日

「医療と研究をきちんと区別する」という、現代の医学倫理の根本が日本に根づいていない、本当に残念ですが、そのとおりと思います。

患者さんには、医療と研究は区別がつきません。「少しでも効果が望めるなら」と期待します。
ですので、なおさら、「まだ研究段階であり、効果は証明されていません。効果がない可能性もあり、研究として行わせてください」との丁寧な説明が必要です。

国立がんセンターでは、この「実地医療と研究」に関しては、かなり厳しく言われました。標準治療でないものは、すべて「研究」としてのみ行われました。また倫理委員会も非常に厳しかったです。非常に丁寧な説明文書を作らされました。患者さんを研究に使わせていただくのですから、当然なのですが。

臨床試験が医療行為として許容されるためには、医療行為の正当化要素としての自己決定権ないしインフォームド・コンセント原則が、通常の医療行為よりもさらに格段に厳格に適用されねばならない。

本来は、臨床試験で行うべき根拠の乏しい療法を、丁寧な説明もなく、効果があるようなことのみを説明され、高額な自費診療として行われるのは、問題にはならないのでしょうか?
自己責任、自由診療として許容されるものでしょうか。

>「説明なしに患者を実験材料にしてはならない」妻の遺志で提訴

乳癌凍結療法の自費診療について

2019年10月11日

乳癌の凍結療法。ガイドラインによると、まだ十分なエビデンスがなく、臨床試験として実施されるべきであり,実地臨床としての実施は時期尚早である、との記載があります。
一部の病院で派手に宣伝して実施医療、自費診療としてやっていますが、どうなのでしょうか?

日本乳癌学会 乳癌診療ガイドライン

抗がん剤に関する誤解

2019年10月11日

「抗がん剤は効かない」「毒ガスからつくられる」「アメリカでは抗がん剤やっていない」とか、依然として抗がん剤に関する誤解は多いですよね。正しい情報を知っていただければと思います。
抗がん剤は医師の中でもいまだに誤解されている面は多い。やはり専門医でないと現状はわかりません。今やほとんどの抗がん剤は外来通院可能、ステージ4でも長生きできる時代、高齢者でも抗がん剤で長生きできるなどなど。

断定的で不確かな余命宣告の代わりに

2019年09月18日

医師は、断定的で不確かな余命を言う代わりに、
『本当の余命は、わからない。けれども、貴方が人生でやりたい事、やらなければならないことがあるのなら諦めず生きてください。
そのためのサポートならば、できる事はします。一緒に頑張りましょう。』のように言いたいですね。

> 医者の余命宣告の言葉に『心』殺されないで! - 耳下腺癌 ハラ・ヨーコのメッセージ

緩和ケアも標準治療

2019年09月12日

「もうできる治療はない」のようなことを医師はよく言うが、緩和ケアも標準治療の一つであることを正しく伝えていないと思う。抗がん剤するだけが標準治療ではない。

ある膵臓癌の患者さん。再発し、標準治療の抗がん剤を勧めたが、抗がん剤拒否。夢だった世界一周に行きたいと言うのです。それは、最大の緩和ケアだと思う。頓服の痛み止めと、旅先での緊急時の英語で書いた紹介状を持たせ、何かあったら、すぐに私に連絡するように伝えて見送りました。

延命させるだけが、標準治療の条件ではない。QOLを最大限に生かすことが最も大切と思う。そういった意味では、緩和ケアこそ標準治療。ちなみに、緩和ケアにも延命効果があるという報告もあるのです。

NHKクローズアップ現代 "最先端"がん治療トラブル

2019年09月12日

> NHKクローズアップ現代-"最先端"がん治療トラブル
この番組は非常によくできていたと思います。ですが、いまだに被害に会っている人は多いです。

"最先端"を掲げ、高額な料金がかかるがん治療で、トラブルが起きている。ネット上には "樹状細胞""遺伝子治療""NK細胞"など話題の医療用語をちりばめ、患者に期待を抱かせたり、事実と異なるウソや大げさな表現の広告が少なくない。
こんながん治療に注意。
1.エビデンス(科学的根拠)が不十分
2.高額
3.標準治療を否定

同番組内でもやっていましたが、裁判にすると、説明義務違反に相当しますので、お金を取り戻すことができます。このような怪しげな医療の被害に会った方は、ご相談ください。

小児がん・血液がんの在宅医療について

2019年09月03日

小児がん、血液がんは緩和ケアや在宅医療が遅れている分野と思います。
緩和ケア病棟や在宅ではなかなか輸血してくれません。腹水や胸水を抜いてくれないところもあります。
輸血は明らかに患者さんのQOLを改善します。
この記事のように、緩和ケア病棟や在宅でも輸血をしてくれる医療機関が増えると良いと思います。

虚偽・誇大広告をする医療サイトの告発

2019年06月25日

インチキクリニックは、ネットで虚偽・誇大広告をしていますので、医療法違反にもなります。
医療機関ネットパトロールはこちら。
虚偽・誇大広告をしている医療機関はこちらに告発しましょう。

医療機関ネットパトロール

効果がない自由診療の治療費について

2019年06月25日

インチキ免疫クリニックの事件解決終了。
乳がん術後、再発予防とのことで、ある自由診療免疫療法に300万円支払ったそうです。
再発予防の効果を示す資料(エビデンス)を、そのクリニックに請求しましたが、まともな資料を出せず、治療費は、ほぼ満額取り戻せました。

同意書に、「行われた治療に対する費用の払い戻しはできません」と書いてあるのですが、この同意書にサインしたからといって、払い戻しできないわけではありません。
そもそも効果の証明のない治療を効果があるように騙しているので、契約違反です。

効果がないにもかかわらず、高額な治療費を支払っていないでしょうか?
このようなクリニックの被害に会った患者さん、いつでもご相談ください。

安楽死と緩和ケアについて

2019年06月12日

安楽死のことを議論するよりも、まずは、日本では適切な緩和ケアが行き届いていないことを議論すべきと思います。

何でも「安楽死」と呼びすぎる日本

緩和ケアの誤解。緩和ケアは、がんでなくても受けられます。例えば、在宅で緩和ケアを受けることもできます。一般病棟でも緩和ケアを受けることができます。

私も知らなかったのですが、がん以外でも緩和ケア病棟に入院できるそうです。ただ、社会的ニーズも低いし、保険点数も低いし、1ヵ月以上入院させると保険点数が少なくなるなどの問題があり、広まらないのだそうです。

日本だと、緩和ケアがしっかりと理解、広まっていないので、安楽死に希望があるように誤解され、安易に安楽死に流れることを危惧します。

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