腫瘍内科医・勝俣範之医師のつぶやき

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勝俣範之医師のつぶやき

※このページでの勝俣先生のお話は先生の承諾を得て作成させていただいています。

勝俣範之医師

勝俣範之(かつまた・のりゆき)医師

日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授

1963年、山梨県生まれ。88年、富山医科薬科大卒。92年国立がんセンター中央病院内科レジデント。その後、同センター専門修練医、第一領域外来部乳腺科医員を経て、2003年同薬物療法部薬物療法室医長。04年ハーバード大学公衆衛生院留学。10年、独立行政法人国立がん研究センター中央病院 乳腺科・腫瘍内科外来医長。2011年より現職。近著に『医療否定本の?』(扶桑社)がある。
専門は腫瘍内科学、婦人科がん化学療法、がん支持療法、がんサバイバーケア。がん薬物療法専門医。

勝俣先生のYomiDr.記事

標準治療はどうやって決められますか?

2019年12月27日

偉い人がえいやって、決めるのではありません。厳密な研究、基礎研究→臨床研究の結果、新しい標準治療が生まれます。

動物実験で非常に有効であったからといって、標準治療になりません。
動物に効くからといって人間に効くとは限らない。臨床試験で効果を示すのは非常に難しいんです。

なぜ臨床試験が必要なのでしょうか?誰かに効いたという一例の報告があれば標準治療になるかというとそうではありません。
他の人で再現性を見たり、他の治療と比較したりしなければならない。そのために臨床試験が必要なのです。

臨床試験で効果を示すことが難しいのは、再現性がなかったり、他の治療(これまでの標準治療)と比較すると効果が劣ったりするからです。
本当に、「効果」を証明するというのは難しいものです。厳密な臨床試験を勝ち得た治療法が、「標準治療」になります。

お金があれば標準医療より良い医療が受けられるということはありません。そんな不公平な世の中ではないのです。
そういった意味では日本の保険制度は素晴らしいです。
先進医療は一部自費ですが、先進医療は研究治療です。標準治療ではありません。

標準治療の誤解

2019年12月27日

標準治療っていまだに大きな誤解がある。標準治療とは、世界中で一番良い治療、世界最善の治療のことです。
それができるということは素晴らしいこと。標準治療があるのに、あえてやらないのは、大変もったいないことと思います。

あの近藤誠先生でも、悪性リンパ腫の抗がん剤はやったほうがよいと言うのですが、それほど抗がん剤がよく効くがんです。
悪性リンパ腫でも、世界的標準治療を受けずに、代替医療で治したいという患者さんがいます。
高齢者とか、合併症があるかたでもないんです。

「抗がん剤で殺される」「米国では抗がん剤は使われず、日本だけしか使っていない」「代替医療の真実を医者は隠している」などを本気で信じています。
大学卒でインテリジェンスも高い方なんです。
これは自己責任?騙されるのが悪い?騙す方が悪い?のでしょうか?

患者さんに怪しい医療を受けたいと相談されたら?

2019年12月19日

ある大学病院で、標準治療を拒否し、ニセ医療を受けたいと言ったら、「二度とうちに来ないでくれ、今日で診療は終了です」と言われたそうです。
ニセ医療に効果もなく、がんが進行してしまい、患者さんはがん難民になり、かなり悪化した状況で、救急病院を受診したそうです。

ニセ医療をしたいと相談されたら...。傾聴、共感は、もちろん大切なのだが、その後、患者さんが希望するからと、あっさりとニセ医療を承認してしまう医療者がいる。
ニセ医療を簡単に承認しないでほしい。
本当の希望とは何か?を患者さんと話し合ってほしい。

ニセ医療を相談されて、激怒して、「もう来ないでくれ!」というのは論外だが、相談されて、まったく反対もせず、患者さんが希望しているからと、あっさりと認める医療者もかなり多いようなのです。
これだと、患者さんは安心してニセ医療をやってしまいます。

>「ニセ医療」に走るがん患者さん、看護師に何ができる?

がん検診の誤解「早期発見・早期治療」について

2019年12月13日

検診に関しても誤解が多い。すべてのがんに検診が有効であるわけでないのに、検診しなかった自分が悪かったと思いこんでいる人が多い。
ゆえ、がんになったのは、生活が怠惰で、検診も受けなかった自分が悪かったと思い込む。これが、がんであることを公表できない理由の一つになっていると思う。

「がんは、早期発見、早期治療が大事」というのもそろそろ止めてほしい。
早期発見、早期治療が有効なのは一部のがんのみ。

進行スピードが速くて、早期発見できないがん、進行が遅くて、検診しなくてよいがん、発見されても治療しなくてもよかったがんが、実際はかなり多く存在するからです。

がんは「生活習慣病」か?

2019年12月13日

患者さんに、「がんの原因になる生活習慣でもっと影響を及ぼすものは何ですか?」と聞くと、「食生活、ストレス」などという回答が非常に多い。
食生活やストレスが原因になり、自分ががんになったと思いこんでいる人が非常に多い。

がんの生活習慣としても最も大きな原因は、喫煙と感染です。
そのほかの影響は微々たるものなのです。このことは案外知られていない。

>がんの発生要因:国立がん研究センターがん情報サービス

がんを「生活習慣病」というのは止めてほしい。
生活習慣だけが原因でない。世界的にも、Noncommunicable diseases(NCD:非感染性疾患)と呼ぶようになってきています(WHOより)。

NHK報道・ゲノム医療の課題について

2019年11月28日

>"夢の医療"に課題が...:NHKニュースウオッチ9

ゲノム医療の課題について報道してくれたんですが、課題は、財政の問題で早期導入ができないことではありません。
最後に「エビデンス」と言っているのですが、「どういったエビデンス」なのか、解説してほしかった。
これだと、エビデンスって何?と思われてしまいます。
今後、早期導入ができるように、きちんとした臨床試験が行なわれるべきと言うべきでした。

オーダーメード医療は始まったばかり。
早期導入は時期尚早、今後早期導入するのには、きちんとした臨床試験を積み重ねて、どのような患者さんに有効であるのか、きちんとしたエビデンスづくりが大切、と言ってほしかった。
国立がんセンター中央病院の院長の西田先生も、「「まだまだ開発領域であると理解してもらう必要がある」と言っていたのですが、「研究段階であり、臨床試験が必要」とわかりやすく言ってほしかったですね。

効果が証明されていない高額な医療行為

2019年11月14日

効果の証明がされていないのに、自由診療で高額な料金をとって提供されている医療行為。
「免疫細胞療法(活性化自己リンパ球療法や樹状細胞療法など)」「がんワクチン療法」「全身温熱療法」「高濃度ビタミンC療法」「サプリメント療法」「p53遺伝子治療」「還元電子治療」「アルテスネイトがん治療」「重水素減少水療法」......。
こうした問題ある医療行為の被害から患者をどう守るのか、これを機会に医学・医療界全体として徹底的に議論すべきではないでしょうか。

>血液クレンジングだけじゃない......"トンデモ医療":文春オンライン

がんの代替療法とニセ医学について

2019年10月26日

がんの代替療法は、昔からあり、世界でも日本でも約4割の人が何らかの代替療法をやっているというデータがあります。
代替療法はがんに直接効果はありませんが、中には、ヨガや音楽療法のようにQOLを保つ効果もあるものもあります。
副作用が少なくて安価なものであれば、患者さんの気休めになるかもしれません。ですので、私も全面的に代替療法を否定するものではありません。

患者さんから聞かれた際には、薬局で買えるもので、副作用が少なく安価なものであれば、やってもよいですよ、と言うことがあります。

ニセ医学、トンデモ医療と呼ばれるものは、「医師が行う代替療法のたぐいで、自由診療でやっていて、効果があるという証明がないのに、効果があるようにうそぶいて、高額な費用を請求するもの」と定義できると思います。

医師が言うと患者さんは簡単に騙されてしまいます。
このようなニセ医学やトンデモ医療は、厳しく追及されるべきと思います。

科学のハードルと医療者の役目について

2019年10月21日

>『選べるなら、今、死にたい』~血液クレンジングが蘇らせること~

勇気ある発信をありがとうございます。患者さんがニセ医学に騙されてしまうのは、無理ないことと思います。
記事中にもありますが、科学のハードルが高すぎるのです。
科学をわかりやすく、上手に伝えていくのは、我々医療者の役目であると思います。

血液クレンジングについて

2019年10月21日

血液クレンジングはニセ医学です。

>「トンデモ医療であると、断言します」 血液クレンジング、医学的に徹底検証してみた
>血液クレンジングをされて効果があった方、どのような効果が見られましたか?

トンデモ医療やニセ医学が多すぎ、これは誰が悪いのでしょうか?騙す方が悪い?騙される方が悪い?

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