メディア掲載・講演実績08_2003年3月:がんに克つ3月号 - アメリカと日本をつなぐ医療の架け橋

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2003年3月:がんに克つ3月号

がんに克つ3月号

「チーム医療」を実現するために-- 患者が救われる医療体制づくり

 「患者が主役」

本誌のキャッチフレーズにもあるように、今、日本でも医療に対する意識変革が進んできた。しかし、真の意味で患者が救われるためには、医療体制、つまりは個々の病院のシステム作りが求められるのではないだろうか。ここで紹介する「チーム医療」とは、そのシステム作りのための一つのヒントである。

◆◆米国がん専門病院の「チーム医療」とは

 テキサス州ヒューストンに42のさまざまな医療施設が集まる世界一の巨大医療センター、テキサス・メディカルセンター。MDアンダーソンがんセンターはそのなかにあり、ニューヨークのスローケタリングがん記念病院と並び全米のみならず世界有数のがんの専門病院として名高い。年間6万5000人の患者を受け入れ、遺伝子治療や新薬の治験など、最先端のがん治療及び研究が行われている。

 インターネットで調べると、同センターの案内には次のような文章がある。

「MDアンダーソンがんセンターでは、全てのガンに対し、ユニークなスタイルの集学的治療(チーム医療)を行っている。細分化された専門科の医師のもと、世界でも最も有能とされる病理医、放射線専門医、腫瘍内科専門医、腫瘍外科専門医、腫瘍放射線専門医、看護婦、薬剤師がチームとなり患者さんの治療にあたる」

 チーム医療とは具体的にはどのようなものなのか、同センターで日々治療に当たっている上野直人医師に説明していただこう。 「チーム医療についてひとことで説明するのはとても難しいのですが、基本となるのはコミュニケーションです。MDアンダーソンでは30年ほど前から始まり、試行錯誤しながら今のようになったという経緯があります。今も通過点にすぎず、今後も変化しながら進んでいくと思います。

 最初は、医者同士のコミュニケーションでした。10年か15年ぐらい前になって看護師や薬剤師も含めた形になっていき、今ではこうした人たちも医者に近い仕事を担っています。臨床看護師とか上級看護師とか、もちろん医者の管理下ではありますが、診断所見もとれますし、処方せんも書けるし、場合によっては処置もする。いろいろなデータを集め、ときには医者にアドバイスもします。看護師や薬剤師の専門性を高めていくと、医師の仕事と重なる部分が出てきますが、それをどうやってお互いに協力してやっていくかを15年かけて作ってきたのです。

 ある患者さんに対してチームを組むとしましょう。中心になるのは内科医の場合もあれば、外科医の場合もあります。その患者さんの状況によって、腫瘍内科医、腫瘍外科医、放射線医、形成外科医、看護師、栄養士など多くの専門家がメンバーとなります。患者さんに対する一定の治療方針を話し合うのです。電話での場合もありますし、会議をする場合もある。ここで大切なのは、よく話し合って基本方針を決めておくということです。その基本はどの医師に聞いてもみんな同じ、ということになります。

 チーム医療を行うとき、私は船に例えます。中心となる医師は船長です。全体像を見極める力が要求されるのです。個々の部分に関しては、その分野の専門家に任せればいいのです。医師は、何ができて何ができないのかを自分自身で把握し、できないことを誰に任せればいいのかを知っておくことが大切です」

 チーム医療とは、要はコミュニケーション医療にほかならないことが見えてくる。患者側からすれば、そんなことならば日本でもどこの病院でも行われているのではないかと思い込みがちだが、そうではないところにこの国の医療の問題点が集約されている。

(以下日本の例として、聖路加国際病院の中村清吾先生、癌研究会附属病院の武藤徹一郎先生のお話に続く)
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