メディア掲載・講演実績10_2003年12月:読売新聞 - アメリカと日本をつなぐ医療の架け橋

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2003年12月:読売新聞

2003年12月9日付け 朝刊「安心の設計」の欄にて掲載
「海外を目指す患者」

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順番待ち

「がんの手術を受けるのに、どうして二ヶ月も待たされるのかと、疑問を感じたのです」。四年前、米国で乳がんの手術を受けた都内の服部由佳さん(38)=仮名=は、渡米の理由をそう話す。

九九年四月、都内の大学病院で乳がんが見つかった時、しこりは既に3.8cmになっていた。「生き残れるでしょうか」と聞くと、医師は「半々ですね」。当然、すぐに入院して手術と思ったが、「一、二ヶ月後になります」と言われた。手術の順番を待っている患者が多いからだという。

「それは、医療サービスとしておかしいのではないか」。帰宅して夫と相談し、米国の知人に事情を聞いてみた。すぐに知人が住むニュージャージー州の病院を紹介され、翌日に渡米。

再検査で乳房を温存する手術はできないと診断され、他の病院の医師にも意見を聞いた上で、全摘手術と同時に乳房再建手術を受けた。入院は二泊三日。渡米二十日後には退院していた。

「決め手は、対応が早く、医師から事前に乳房再建も同時にできるなどの説明をメールで受けたこと」と服部さん。費用は夫の仕事先の保険が海外の治療にも適用されたため50万円程度の負担で済んだが、「診療や検査のたびに何時間も待たされたり、不必要に長い入院や差額ベッド代で費用がかさんだりという日本の現状を考えると、全額自己負担でも海外の病院を選びたい」と言う。

新薬で治療

白血病を患う関西地方の四十歳代の男性も、「日本では受けられない最新治療を含め、納得いく治療を選びたい」と、今年の春に渡米した。

診断を受けた後、国内の病院をいくつか回ったが、自分にとって最善の治療法は何か納得できる説明は得られなかった。そこで、ある医師からがん治療に実績がある米国の「テキサス大学MDアンダーソンがんセンター」のことを聞き、自ら連絡。医師の詳しい説明のもとで一緒に今後の治療方針を決め、日本では認可されていない新薬も使った治療を受けた。

再活乳がんの治療を国内で続ける都内の女性(49)も、「日本で使える抗がん剤が効かなくなったら、米国で再新薬を試そうと決めている」。米国の医療に詳しい医師の一人は、「海外での治療といえば、以前は臓器移植など特殊な医療に限られていたが、ここ数年は、がんなどの患者も自分で海外を目指すケースが出て来た」と言う。

多い規制

海外での治療を考える患者が増えている背景にあるのは、患者本位とは言えない日本の医療体制だ。国内の病院の多くは、例えば乳がんの手術に2-3週間の入院を必要とし、日帰りや短期間の入院で済む米国に比べ、順番待ちに時間がかかる。

また、海外で広く使われている薬が、国内では未承認で自由に使えないことがあるうえ、自己負担で最新の治療を受けたくても「混合診療」の禁止で多額の費用がかかるなど、規制が多いことへの不満も強い。

さらに、国内では病院や医師の専門性、治療実績などのデータが少ないのに対して、米国などでは様々な情報が公開されているため、医療機関を選びやすい。インターネットの普及で、世界の最新の治療情報を入手できることも、より良い医療サービスを求めて海を渡る患者の増加につながっている。米国で腕を磨いた医師がいるアジア各国でも日本人患者が治療を受けにくるメールが増えているという。

「米の病院 積極的に受け入れ」

米国の病院も、日本人患者の積極的な受け入れに乗り出している。

米テキサス州ヒューストンの「MDアンダーソンがんセンター」も、その一つだ。同病院は、メキシコやスペインを中心に国外から年間二千人の患者を受け入れているが、日本からは10?20人程度。そこで、国際部ディレクターのウェンデリン・ジョンゲンバーガー氏は、「日本を重要対象国の一つとし、患者が受診しやすい体制の調査を始めている」と話す。

「最新治療の提供だけでなく、専門医チームによる十分な説明、選択肢の提示など患者を第一に考える診療は、日本の患者にも満足してもらえるはずだ」と自信を見せる。

同病院での治療を望む日本人を支援する「メディエゾン・テキサス」社も昨年設立。通訳や交通、宿泊の手配のほか、日本人スタッフが診療のゼンン面支援を行う。

今年九月には、聖路加国際病院(東京・中央区)と姉妹病院になり、医師の教育や交流、治療の連携など病院ネットワーク作りを始めた。 心臓外科に定評のある「スウェディッシュ・メディカルセンター」(ワシントン州シアトル)も、協力関係を結ぶ亀田総合病院(千葉県鴨川市)、住友病院(大阪市)などに加え、新たに提携できる日本の病院を探している。

同病院は西海岸にあり、年間800人にのぼる国外患者のうち60人以上が日本人。国際サービス部ディレクターのデュエイン・ドブヴェッツ氏は、「患者の帰国後の管理を含め、私たちの最新技術を共有できる日本の病院を増やし、多くの患者により良い医療を提供したい」と話す。

気になる費用は、例えば、日本では未承認の心臓血管拡張手術で約200万円。ドブヴェッツ氏は、「担当医師の技量も分からない日本とは異なり、命を預ける医師を自分で選べるうえ、入院待ちもない。高い安いは価値観だが、こういう医療があることを知ってもらえれば」とアピールする。

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