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「患者の権利」について(1) ~脳腫瘍の患者さんの場合~

がん治療と向き合うに当たって
「どれだけ納得して向き合えるのか」
それが大切になると思います。

今日のお話は

「患者の権利」について。

MDアンダーソンがんセンターに勤めていた頃に
ある冊子で見かけた11の権利について。

「権利」というより「心得」という感覚でしょうか。


今日はその内の3つをご紹介。


1、関わる全ての医師の名前とその専門を知る権利がある。

2、患者は主治医から自分にわかる言葉で治療の問題点の
程度や性質、方向性、期待される結果の情報を与えられる権利がある。

3、法が許す範囲で治療を拒否する権利があり、
またそれによってどのような結果になるかを知る権利がある。


2の「わかる言葉で」という部分、
3の「治療を拒否する権利」
そして「それによって起こる結果を知る権利」
って大切だと思います。

今回はメディエゾンでお世話していた患者さんではなく
知人のお話です。

まだ30代と若く、とてもお元気な方でした。

ある日、脳腫瘍と診断され、
自分の病状、これからの治療、それにかかる費用
そして、治療後の予後について
医師から説明を受けたそうです。

結果、その方は治療をせずに
症状の緩和のみを目的とした治療を受けることに決めました。

腫瘍のための治療法があるにも関わらず
「治療をしない」という選択肢を選ばれたこと。

その方にとっての優先順位が
治療による効果を期待することではなく
治療による生活の質の低下を恐れることでした。

ここに至るまでに
想像できないほどの葛藤があったはずですが
とてもすっきりした顔をされて
そのお話をされていました。

正直、私にとってはとてもショックな話でした。

未だにその選択肢を自分なりに納得できていませんが
そういう選択肢があるという現実が
忘れることができない経験になっています。


「納得して治療と向き合うため」には、
「権利にとらわれない心得」が大切です。

「患者の権利」というのは、患者さん自身のために、
積極的に勉強して考えて行動して納得するためにあるものです。

「権利」が与えられなかったと不満を持つのではなく、
この「権利」を得るために「心得て」積極的に行動してみてください。

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