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患者さんの記録

メモリアルスローンケタリングから前立腺がんの治療法

メモリアルスローンケタリングへ資料を提出してから3週間後、お返事が来ました。

内容は下記の通りです。


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所見・治療計画:

骨・リンパへの転移を伴う去勢抵抗性前立腺がんの60代男性患者。

アンドロゲン遮断とゴセレリンの併用治療、効果のみられたカソデックスとオダインの投与歴あり、報告書に明記されている最近の治療はプロセキソール(エチニルエトラジオール)を使用。

病理報告書によるとグリソンスコア4+3の中分化腺がんであり、前立腺のMRI検査では精嚢への浸潤、直腸壁への近接近、膀胱への突出が確認されている。提出書類では、併用アンドロゲン遮断療法を標準的治療として受けたとしている。

現時点ではプロセキソールの治療に反して病変が進行しているため、ドセタキセルベースの化学治療が検討されている。

去勢抵抗性前立腺がんによる骨転移はゾレドロン酸で適切に治療されているため、患者はカルシウム配合のビタミンDサプリメントを継続していると考えられる。

医学的に耐性があればGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)抑制療法を継続すべきである。

次の標準的療法として、FDA(アメリカ食品医薬品局)作成のラベル表示に基づいた場合、Abiraterone Acetate(アビラテロン酢酸)とプレドニゾンの併用治療が放射線学的無進行生存につながると考えられる。

この療法は立証された治療動向であり、"New England Journal of Medicine"でDr. Ryanらが発表したように(参考: Ryan C.J., Smith M.R., de Bono J.S., et al. N Engl J Med 2013; 360:138-148 from January 10, 2013)総合的に生存率を高め、転移を伴う去勢抵抗性前立腺がん患者にとって大幅な臨床的衰退の遅延と化学療法開始の先延ばしが期待できる。

Abirateroneは耐性が高く、使用に関してはFDAの指示に従い1日1回空腹時に服用、胃の保護を怠らず、プレドニゾンまたはプレドニゾロンによる生理的補充、頻繁な臨床観察と肝機能の検査・モニタリングが必要である。

患者がタキサンベースの治療(ドセタキセルやCabazitaxelなど)に適していない場合、NCCN(National Comprehensive Cancer Network)のガイドラインに従い、Enzalutamideを化学療法開始前に経口で連日投与することにより、Dr. Scherらが"Lancet"(参考: Apr 24, 2010; 1437-46)で記述したように、化学療法未治療の去勢抵抗性前立腺がん患者の抗腫瘍活性が期待される。臨床的に必要であれば、FDAラベルに従って、安全性の分析結果への考慮をするべきである。

Dr. Scherらが行った大規模な第3相試験の結果に基づき、Enzalutamideはドセタキセルベースの化学療法後にもなお続く去勢抵抗性前立腺がんの進行に苦しむ患者の治療に適用・承認されている(参考: "New England Journal of Medicine" Scher H.I., Fizaki K., et al. N Engl J Med 2012; 367: 1187-1197 from September 27, 2012)。

患者が3-6か月の間、追加抗がん剤治療や高用量ステロイド剤を受けることなく無症状あるいは最小限の症状を維持している場合、また内臓転移が見られない場合は、Sipuleucel-T(シプロイセルT)ベースの免疫療法を検討すべきである。

骨転移による病変には、近年承認されたばかりの放射線医薬品Alphardin(Radium-223 Chloride・塩化ラジウム223)ベースの治療が有効であると考えられる。

患者の骨盤と後腹膜のリンパ節への転移が疑われるが、前立腺がんワーキンググループのコンセンサス基準規定のように骨盤においては2cm以上、後腹膜の短軸においては1cm以上に病理学的肥大していないため明記していない。

上記の治療を施行していても病変が進行するのであれば、ドセタキセルを使用したタキサンベースの治療後にCabazitaxelの投与する治療計画が考慮できる。Mitoxantrone(ミトキサントロン)ベースの追加治療が症状緩和につながるとも予期される。

症候性疾患を発見するためには臨床検査と詳細な病歴が必要とされる。

例えば脊椎への転移を仮定してみると、臨床学的にあるいは症状出現により転移が確認された場合、患者がSpot Radiation(スポット放射線)を必要とするEpidural Extension(硬膜外エクステンション)に適合であるかを明確にするためさらなる詳細調査を計画するべきである。

適切な評価を得るために必要であれば、MSKCC(メモリアル・スローン・ケタリング・がんセンター)において病理学的また検査画像の再考察が可能である。

治療予後のため、また新たな治療から期待できる効果を判定するためにも、血中循環腫瘍細胞数値の定期的測定を推奨する。


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今回、とても詳細な内容のセカンドオピニオンでした。

Dさんへ送らせていただき、更に必要な質問がある場合の連絡をお願いしました。

担当する医師によって、しばしば内容や対応に違いがありますが、メモリアルスローンケタリングからのお返事は毎回一定してかなり詳しい内容を送ってくださいます。

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