Eさんの資料を
NYメモリアルスローンケタリングがんセンターへ
提出してから約1週間後、
下記内容のお返事をいただきました。
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提供された資料によると男性患者は
膵臓がんであると推測できる。
この患者は生検を受けていず、
症状の始まりは3ヶ月前に遡る。
腹部エコーによると腫瘍が肝臓にあるとの所見がある。
最新の血液検査によると緩やかに血糖の上昇と
それに伴うHgbA 1Cの上昇がある。
より気がかりなのは、CEAが528、
そしてCEA19-9が27,593に上昇していることである。
両方の数値から考えられるのは、
周辺の多数の肥大したリンパ節へ転移していると予測される
転移性の膵臓がんである。
最新の腹部胸部CT所見によると
左上葉に辺縁不整な結節が認められるとある。
これは、膵臓がんによるものであろうと推測する。
もし肺に1つよりも多い病変が認められる場合、
肝臓左上葉にある肝臓への転移があるという事実からも
膵臓がんによる肺転移を高い確率で疑う。
要約すると、
患者は肝臓転移
そして証明できないがもしかすると
肺転移している膵臓がんであると高い確率で考えられる。
生検をしていないので不確かではあるが、
CEAとCEA19-9の上昇、
そして放射線画像診断所見からも、
この診断は矛盾がないと思われる。
彼の投薬は主に糖尿病にフォーカスを置いて管理されている。
患者はゲムシタビン投与という標準的な治療を受けている。
しかしながら、
この治療法は患者のいくつかの症状を改善するための
単に一時的な治療法であり、
最低限の長期的な生存を見込めるものではない。
もし患者がより積極的な治療を
受け入れることができるだけの健康があれば、
Folfirinox治療を提案する。
この治療法は、
今の治療法に比べてかなり毒性が強いが
長期的な生存結果がある。
すなわち長期化は小さいものの、
ゲムシタビン単体での治療では平均7ヶ月だが、
11ヶ月へ延びる。
Folfirinoxの治療法は下記の通り。
Oxaliplatin 85mg/m2を1日目に2時間以上かけて点滴投与
Leucovorin 400mg/m2を1日目に2時間以上かけて点滴投与
Itinotecan 180mg/m2を1日目に30分以上かけて点滴投与
Fluorouracil 400mg/m2を1日目に静脈注射
Fluorouracil 1200mg/m2を1日目と2日目に24時間以上かけて持続注入
この治療は吐き気止を利用しながら14日間毎に繰り返し行う。
膵臓から腫瘍がすでに広がっていることから、放射線治療は勧めない。
残念ながら他に提案できるより良い治療法はないが、
ゲムシタビンとerlotinibとirinotecanとの組み合わせも
利用できる治療法として提案する。
患者さんにとって、とても難しい問題であるとお察ししている。
この情報が役立つ事を信じています。
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FOLFIRINOXの治療法は
日本では2013年12月に承認されましたが
当時、まだ未承認の治療法でした。
弊社とEさんの保険代理店さんとの間での
やり取りが始まりました。
次回また紹介いたします。