MDアンダーソンがんセンター
第 I 相臨床試験を専門とする科(Phase I Department)内にて
*正式名称
Department of Investigational Cancer Therapeutics
フェロー(日本でいう後期研修医)をされていた
藤井健夫先生からの寄稿文と共に
私の理解も交えつつ
ここで紹介させていただきます。
*記事は複雑な流れや他の方法などの中、一番わかりやすい流れや内容を紹介しています。
今回のお話は
「第 I 相臨床試験の効果の判断について(1)」
(古い病棟で1階と2階に救急室があります)
今日のお話はこちらの記事に関連しています。
臨床試験を行う際には
主目的とそれ以外の目的とで分けられています。
第 I 相臨床試験の主目的とは何か。
許容できない副作用(DTL)の発現と
その薬剤の用量の関係を発見することです。
(上記の4の話の中に詳しく書いています)
それを証明するための患者さんの数。
どれくらいの患者さんの数があれば、主目的を証明できるのか。
前もって数学的(統計学的)に計算して人数が決められています。
効果の判定方法は
主に画像診断によって行われることが多く、
ほぼ6-8週間毎の評価を想定してプロトコールが作成されます。
この6-8週間というのは
多くのプロトコールで使われている薬剤投与の2サイクル分で
1サイクルを3-4週間として2サイクル終了後、
評価の判断をすることを規定されています。
2サイクル終了後の評価の判断で
治療効果がないと判断された場合、
同じ患者さんが次の用量に参加することは
基本的に認められていません。
以前書いた上記「4」の話にありますように
DLTがどの程度出るのかによって
次の用量のグループへ移るかどうかの判断基準であることとは別に
効果がないとされた患者さんのグループは
次の用量のグループへは参加できないのです。
もしかすると
用量が増えると効果があるかもしれないのに・・・
と思われがちですが、
用量が増えるほど治療効果があると言えるだけの十分な根拠がまだない。
というのが第 I 相臨床試験です。
すなわち。
同じ薬の用量を増やしても必ずしも効果があるとはわからなくて
逆に多くの副作用を起こすだけの結果につながる可能性があるからです。
そして。
以前書いた上記の「4」の話のように、
治療効果がないと判断された際にはその臨床試験での治療は中止し、
他の臨床試験やその他の標準治療を再検討することとなります。