腫瘍内科医・勝俣範之医師のつぶやき

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勝俣範之医師のつぶやき

※このページでの勝俣先生のお話は先生の承諾を得て作成させていただいています。

勝俣範之医師

勝俣範之(かつまた・のりゆき)医師

日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授

1963年、山梨県生まれ。88年、富山医科薬科大卒。92年国立がんセンター中央病院内科レジデント。その後、同センター専門修練医、第一領域外来部乳腺科医員を経て、2003年同薬物療法部薬物療法室医長。04年ハーバード大学公衆衛生院留学。10年、独立行政法人国立がん研究センター中央病院 乳腺科・腫瘍内科外来医長。2011年より現職。近著に『医療否定本の?』(扶桑社)がある。
専門は腫瘍内科学、婦人科がん化学療法、がん支持療法、がんサバイバーケア。がん薬物療法専門医。

勝俣先生のYomiDr.記事

ある有名がん病院の漢方外来で

2017年11月06日

ある有名がん病院の漢方外来で、専門外来と言っておきながら、生薬使わないこと(既製品のみ)、『がんに効く』保険が効かない漢方薬(一回9万円もする)を勧めるっていうのはどうかなあ、と思いました。

医師が処方できる漢方は既製品(エキス剤)だけでなく、生薬も処方でき、保険も効きます。漢方専門医と言うなら、せめて、生薬を処方してほしい。生薬出さない医師は専門って言えるのかなあ?

私は、国立大学では唯一の和漢診療部のある富山(医科薬科)大学の出身です。私の同期や先輩たちもたくさん漢方専門医になりました。ちゃんとした専門医は、漢方が「がんに効く」とは言いません。漢方は、「病気に効く」とは言わないと、授業でも教わりました。

日本のピンクリボン運動について

2017年10月05日

ここが変だよ日本のピンクリボン運動。ピンクリボンとは、乳がん啓発運動のことですが、日本だと検診啓発しかやらないことが多い。米国のサイトを見ると、検診のことはごくわずかしか書いてない。検診がもっとも大事などとも言っていない。

本来、"正しく乳がんを知る"というところから、始まったピンクリボン運動。検診ばかりやるのはおかしい。検診で救える乳がんは、実際わずか。検診で救えない乳がんも多いのが実際。正しい知識をもって、正しい治療を受ける、ということが日本ではもっと大事なように思う。

最も信頼できるコクランレビューによると、2,000人検診を受けると1人乳がん死亡を減らす(絶対リスク減少0..05%、全死亡では差なし)が、200名に偽陽性、10人に過剰診断・治療あり。検診のベネフィットは少ないことを情報提供すべし。

検診に向かないがんもある。急速に進行するがんは、検診に向かない。実際進行乳がんには、急速乳がんが多い。毎年検診しても見つからず、数か月で急速に大きくなったという乳がんがある。のんびりがんが検診に向いているが、実際そう多くはない。

>> 参考記事はこちらです

インチキ医療について

2017年09月14日

インチキ医療を批判するより、インチキにいかないようにコミュニケーションをという方がいます。もちろん、その通りなのですが、私の患者さんでも、何時間もかけて、丁寧に説明してもやはり、「悔いが残らないようにやりたい」と言われるかたがいます。

そのような場合、やむなく、紹介しますが、結局、効果もなく、お金も使い果たしてしまいます。なかには、借金をして、遺族にその負債が残されたこともあります。医療現場はかなり疲弊していて、実際に、患者さんとうまくコミュニケーションがとれないという現状もあります。

インチキ医療は、そもそも医療倫理違反、人道的違反になりますので、社会的にも厳しく追及、規制すべき。海外では、特にがんのインチキ医療は厳しく規制されている。
未承認治療が、臨床試験でもなく、自由診療として勝手に行われているのは、先進国で日本くらい。これでも規制いらないと言いますか?

腫瘍内科医と緩和ケア医の二人主治医制について

2017年09月03日

腫瘍内科医と緩和ケア医の二人主治医制に賛成です。切れ目ないケアの提供が可能になります。インチキな医療にひっかかることもなくなります。どちらかというと、緩和ケア医の役割が大きいと思います。緩和ケア医の腕の見せ所ではないでしょうか。

緩和ケア医の先生のなかには、「腫瘍内科医(治療医)は必要ない、早く縁を切るべき」という人がいますが、患者さんとしては、これまでの主治医と縁を切るのは不安なものです。緩和ケア医の先生にとっても、早くからコミュニケーションをとり、信頼関係を築き上げることができるのでよいと思います。

私は「主治医は何人いてもよい」と患者さんにお話ししています。外科の先生から、紹介を受ける際にも同様です。内科に移っても、外科医にもときどき診察してもらうと、患者さんは安心です。腫瘍内科医に冷たくされた、と愚痴も言える。腫瘍内科医も、しっかり診なくちゃと気合も入る。
>> 参考記事はこちらです。

たばこ煙害死なくそう

2017年05月24日

タバコは、がんの最大の原因。WHOも指摘している科学的に間違いない事実。毎年、600万人が、タバコが原因で命を失っている。日本の国立がんセンターのコホート研究(前向き疫学研究)より。タバコは、日本人男性の35%、女性の8%のがん死亡に関連している。
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「あきらめない治療」

2017年05月10日

「あきらめないで、がんばりましょう」と患者さんに言う医師がいます。その医師は、効果の乏しい抗がん剤を亡くなる直前まで処方したそうです。「あきらめない治療」というのは、"積極的治療"をやり続けるということではないのですが.....
「患者さんが希望したから」からとその医師は弁明しますが、「患者さんの本当の希望が抗がん剤をやることですか?」「その治療は、あなたの自己満足のためではないですか?」「医師のマスターベーションでないか、よく考えて」と、カンファレンスで時々若い医師にお話しします。

抗がん剤と副作用の誤解

2017年04月27日

抗がん剤中の生もの禁止というのは、いまだにどこの病院でも指導されていることですが、そろそろやめてほしい。患者さんのQOLは下がる一方。患者さんは真面目なので、生クリーム、くだもの、発酵製品(ヨーグルト、牛乳なども)自粛してしまう。
「マスクしなさい」「人ごみに出てはいけない」「仕事もひかえめに」などと指導しています。これだと、抗がん剤中のQOLは下がりっぱなし。仕事もできないし、生活も普通に送れない。「がん患者らしく」生活しなさいということか。とても「自分らしく」などとはできませんね。
>> 参考記事はこちらです。

治療方針

2017年04月24日

ある有名がん専門病院でのお話。治療方針は医局の方針でやるそうな。エビデンスより、医局の方針が最優先だそうです。その医局では製薬企業さんとの癒着もあるそうです。医局の方針でなく、エビデンス、ガイドライン優先で診療しているある先生は、医局で孤立して「変わった先生」と呼ばれているそうな。
医局の都合、医局の方針は、エビデンスより優先されます。もちろん、患者さんの希望にも添いません。医局の方針に従えない場合は、その病院で治療ができないそうです。エビデンスを優先する先生は、二番目には、患者さんの希望を聞くそうです。どちらが、「変わっている?」のでしょうか?こんな話、セカンドオピニオンでよくあるんですよね。それが、結構有名ながん専門病院なので、びっくりします。

終末期ケアについての話し合い

2017年03月15日

患者さんが亡くなる少なくとも3ヶ月は化学療法をやらずに過ごすことを目標としたい。だけど、これは、かなりの高度の技術が必要。余命3ヶ月を確実に予測することは困難であり、患者さんは、化学療法を止めることは治療をあきらめてしまうことと誤解してしまうからである。
「抗がん剤をやらないということは、負けてしまうような気がします。人生ずっと前向きに生きてきたし」「抗がん剤しないことは、負けではないし、むしろ、前向きにこれからの人生を大切にしていくことと思います」このような会話をよくやっています。
「治療が終わることはありません。緩和ケアというのは、あきらめることではありませんし、しっかりとした治療の一つですし、きちんとすることで、生活の質が高まり、より元気で過ごすことができます。無理に抗がん剤をやるほうが、命が縮まる可能性もあります。」などとも言えるのではないでしょうか。といったことを患者さんと話した後、緩和ケア病棟を紹介したら、「治療が終わったということを納得されたのですね。当院では治療はできません。」などと言われ、「先生は緩和ケアは治療だって言ったのに、緩和ケアの病院では違ってた」と、患者さんが泣きながら帰ってきたことがあります。緩和ケアの医師にも、「緩和ケアは治療だ!!」と言ってほしい。化学療法するかしないか治療の意思決定にも関わってほしい。治療医も結構迷っていることが多い。もちろん、患者さんが一番迷っている。そこを後押ししてほしい。「治療方針は主治医に」と受け身に回らないでほしい。終末期のケアについて話し合うことを、End of Life discussionというが、がん治療医は、EOL discussionを抗がん剤開始前にやっておくことが望ましい。 そうしないと、最後まで積極的治療がなされてしまう。
EOL discussion(終末期ケアについての話し合い)は非常にデリケートな対話技法です。信頼関係もないうちからしてはいけない。大橋巨泉さんの在宅ケア医がいきなり「どこで死にたいですか」と聞いたのはトンデモないことです。 私は、患者さんに、緩和的治療と言うことも多いのですが、紹介先から、「治療じゃありません、ケアです。治療はあきらめたということを納得してください」と言われることがあります。治療と言ってもよいのではないでしょうか。そんなに呼び方に固執しなくても...進行がんの患者さんに、抗がん剤治療を始める前に、「積極的治療も大事なのですが、緩和的治療も並行してやっていきます。緩和的治療は積極的治療よりもある意味大事なのです。緩和的治療は緩和ケアとも言います。具体的には...」のような言い方をしますが、この言い方で納得されることが多いです。
最後の週まで化学療法をする外科医、早々と患者を見放し、冷たい余命告知までする腫瘍内科医とどっちがよいでしょうか?患者さんは、誰にかかれば幸せになれるのでしょう?それとも、「よくいらっしゃいました。一緒に治しましょう」と優しく迎えてくれる免疫クリニックの医者が患者さんを幸せにしてくれるのでしょうか?
>> 参考記事はこちらです。

蔓延するインチキ医療

2017年02月02日

インチキ医療の先に希望があればよいのだが、藁でしかない。がん難民が増えるだけである。インチキ医療が蔓延するために、治験はすすまないし、緩和ケアもすすまない。
ウェルクに発端し、医療情報の真偽が話題になっている。インチキクリニックはまだしも、大学病院がインチキ医療に加担しているところがある。これだと、いくら、「日本発のエビデンスを」といっても、インチキなエビデンスしか出ない。ガラパゴス化していることの自覚が足りないのでは?
少なくとも、アカデミアにいる人間は、インチキ医療にしっかりとNOと言うべき。でないと自分たちがやっていることも疑われてしまう。自分たちがやましいことがあるから、NOと言わないのか?
臨床試験を法律にして、規制することに最も反対しているのは大学病院だという。自由に研究したいのだと。研究はもちろん自由にするのがよいのですが、臨床試験はいい加減にやってもらっては困ります。日本のように規制がないとインチキ医療までできてしまうことになります。
臨床試験を自由にしたいというのは、自由に患者さんを人体実験にしたいということでしょうか?日本では治験以外の臨床試験は、法的に規制がありません。自由に患者さんが人体実験、インチキ医療に巻き込まれてしまっています。

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